北陸新幹線敦賀駅開業延期

【悲報】北陸新幹線敦賀開業延期に。原因とその影響を解説

2020年11月11日。

福井県民にとっては衝撃的なニュースが飛び込んできました。

それは、「北陸新幹線金沢-敦賀間の開業が1年半程度遅れるとの見通し」ということ。

福井県内はコロナ関連と共に新幹線開業延期のニュースで持ちきりです。

観光関連、宿泊事業、町づくり関連の皆さんには北陸新幹線敦賀開業に向け準備を進めてきた中で、残り2年強のタイミングでの発表は非常にショックだと思います…。

そこで今回はなぜこのような事態になったのか、また今後の影響などをまとめました。

北陸新幹線開業延期の原因は?

11月11日、国土交通省が与党整備新幹線建設推進プロジェクト(PT)の会合で北陸新幹線の金沢-敦賀間について、工事の遅れにより当初2023年春開業が1年半程度遅れるとの見通しを報告しました。

それでは、その工事の遅れの原因とは何なのか?

一つづつ見ていきましょう。

加賀トンネルのひび割れ対策

最たる原因は、福井・石川県境にある加賀トンネル(延長5.5km)の底部にひび割れが発生したことであると報告されています。トンネルのひび割れは地盤の隆起によるもので、加賀トンネルでは8か所、計約1kmにもなるそうです。これらのひび割れに対応するため長さ12m、直径3.6cmのボルトを1,400本打ち込むという追加工事が発生しました。1日1~2本のペースで打ち込み作業を続けていますが、本来なかった工事が追加されたことで、工期が遅れるとの見通しが出ています。

工事遅れを隠蔽?

この加賀トンネルのひび割れが、北陸新幹線敦賀開業延期に大きく影響を与えていることは間違いありませんが、実は建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(国土交通省所管)は2020年3月にこのひび割れを把握していました。

しかしながら、2020年6月の与党整備新幹線建設推進プロジェクト(PT)会合にて、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の北村理事長は加賀トンネルのひび割れを把握しながら「2023年の開業に変更なし」と明言していました。

福井県の杉本知事はこれについて、「工期の遅れを隠した。社会全体に影響を与える問題。」と強く非難しています。

鉄道建設・運輸施設整備支援機構の北村理事長は「影響の程度が分かってから公表しようとしていた」と釈明していますが、この発表の遅れにより更なる負担が増えることは間違いないでしょう。

敦賀駅工事の遅れ

北陸新幹線敦賀開業の終着駅である敦賀駅でも工事の遅れが確認されています。

敦賀駅は新幹線と在来線との乗り換えが発生し、「上下乗換方式」での整備が決定しています。「上下乗換方式」とは北陸新幹線が上の高架を、その下に在来線が発着するというもので、通常の駅の構造よりも煩雑です。

敦賀駅

JR西日本の資料より

敦賀駅について鉄道建設・運輸施設整備支援機構の北村理事長は「作業スペースが狭く、必要な熟練作業者が集まらないことから土木工事が思うように進まなかった」と述べています。

工事遅れを隠蔽?

こちらも加賀トンネルひび割れと同様に、国土交通省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構は2020年7月末時点で敦賀駅の工事の進捗が予定より2年程度遅れていることを認識していました。

認識していながら発表が11月という事で、かなりの批判が巻き起こっています。

人手不足

北陸新幹線敦賀開業に向け工事を進めるここ数年は、ちょうど時を同じくして東京五輪・パラリンピックに向けての各工事も進んでいました。

それにより建設業の人手が足りず、また建設資材の高騰も相まって工期の遅れに拍車をかけたようです。

新型コロナウイルスの影響

今年初めから感染が拡大してきた新型コロナウイルス。工事現場にも影響を与え、政府の緊急事態宣言に伴って4月末から5月にかけて北陸新幹線金沢-敦賀間での工事が一時中断していました。

用地買収の遅れ

2019年9月の段階で、用地買収の進捗状況が99%と発表されて今いたが、残り1%で難航していたのでしょうか…?

北陸新幹線開業延期の影響は?

ここからは北陸新幹線敦賀開業が1年半程度遅れることについて、考えられる影響を見ていきます。

巨額の追加費用

追加の建設費でなんと2880億円増という試算が出ています。新幹線整備の財源はJRが支払う新幹線施設利用料(貸付料)を充て、残りの分を国と地方が2:1の割合で負担する仕組みです。

実際の金額がいくらになるかは何とも言えませんが、杉本知事は「地方負担が極力生じないように」という話をしています。過去の経緯からJRが追加負担を払うことも考えにくいので、大半は国の負担になるでしょう。

沿線主要駅付近のまちづくりへの影響

福井駅周辺

新幹線が発着する福井駅では西口の通常「三角地帯」を、新幹線開業の2023年に向けて再開発している途中です。

マリオット系ホテル「コートヤード・バイ・マリオット福井」の開業が2023年に決まっています。飲食などのテナントも入る予定だっただけに、新幹線開業が遅れれば出店状況などにも大きな影響を及ぼしそうです。

芦原温泉駅

芦原温泉駅西口では、「賑わい施設」の完成予定が2023年春。予定通りのオープンを目指しているそうですが、新幹線が開業しない中、こちらも集客状況には不安が残ります。

さらに2022年には新幹線開通を見据えてビジネスホテルの営業開始も予定していた中で、宿泊事業者には大きな影響を与えそうです。

敦賀駅

敦賀駅は北陸新幹線の終着駅となっており、最も経済効果が高いとされているエリアの一つです。

敦賀駅でも2022年夏に「交流・にぎわい拠点」をオープンする予定。

こちらもオープン延期は現在のところ考えていないようですが、影響は甚大です。

観光地への影響

福井県立恐竜博物館

現在福井県立恐竜博物館の年間来場者は約100万人。しかしながら当初の想定収容人数は年間40万人であったことから、倍ほどの観光客が来る施設となり、手狭になっています。

さらに北陸新幹線が開業するとさらに多くの方が訪れるということから、福井県立恐竜博物館の増改築を進め年間140万人の来場を目指しています。

その開業予定も2023年…。すでにキャパオーバーしていることを考えれば、工事は必然ですがそれでも新幹線開業+恐竜博物館増改築完了はインパクトが大きかった分、残念です。

 

このように観光業中心に様々な影響がある北陸新幹線開業延期。

しかしながら、一事業者や一民間人にはどうすることもできません。

開業までの時間が伸びた分、より県外の方に喜んでいただけるコンテンツをしっかりと考え、福井県民一丸となって前を向いて頑張りましょう!

 

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